彦根市で開催していたA-SaaSのセミナーに参加したことがきっかけです。セミナーに参加するまでは、会計・税務システムを他社に切り替えるという発想はまったくありませんでした。しかし、当時15台以上のネットワークを組んで使用していましたが、5年を経過しシステムの保守料が2割アップしていて、システムの切り替え時期がちょうど来ていました。そして、システムの入れ替えと5年分の保守料を計算すると総額で2,000万円弱の投資が必要である見積書を既存ベンダーから提案されたこともあって、大幅なコスト削減につながるA-SaaSに興味を持ちました。
また、出納帳システムで入力していただいている顧問先さんとのデータのやりとりにも不便さを感じていました。クラウド会計(出納帳)の場合は、事務所にいながらリアルタイムで顧問先さんのデータを確認できますし、メール・USBでデータをやり取りする煩わしさもありません。クラウドによって業務を効率化できると感じました。
システムの大幅な移行を実現できた要因は、職員にシステムを切り替えるメリットや理由を説明したうえで、事務所全体で取り組んだことだと思います。一部顧問先は既存システムを継続していますが、既存システム利用を4台に縮小しましたのでかなりのコスト削減につながりました。
具体的には、決算が終わった顧問先さんから順番にコンバージョンに取り組みました。日常業務だけでも結構な残業がありましたので、さらに余分の仕事が増えることに対しては誰しもなかなか取り組めないと思い、息子の同級生の学生アルバイトも採用して、会計ファイルや減価償却データの移行及び作成作業だけをしてもらいました。会計の知識を持っている方ではなかったのですが、若い方のほうがPCの操作には慣れています。最初に少し指導をしただけで、その後は特に手をかけなくても大量の件数を処理してくれました。
また、システムの移行を頑張ってもらうために、全職員15人に対してA-SaaS移行奨励一時金を支給しました。1年でA-SaaSへ顧問先の9割方を移行できたのは、ベンダーにお金を支払うよりも自分の職員にお金を支払う方が絶対に喜ばれると考えたからです。所長だけがシステムコスト削減等の利益を得るのではなく、やはり、職員みんなにも利益を還元することが大事だと考えています。
全面移行またはシステムの大半の移行に向けて、所長・職員で共通の目的意識を持つことが重要だと考えています。 所長ひとりでシステムを全面移行することはほぼ不可能です。職員みんなにシステムを切り替えるメリットや理由をしっかりと伝えて、みんなに納得してもらわなければ事は進みません。
移行するにあたって、当然、職員の不満は必ず出てきます。余計な仕事が増えるのですから。ただ、そういった不満があったとしても、当初の目的であるコスト削減を実現するために所長自身が最後までやり抜く意志が重要です。 ただ、所長だけが利益を得るのではなく、コスト削減によってもたらされる利益を職員に還元する気持ちを伝えること、それを職員に成果として還元することが大切です。この2つがあれば、全面移行は必ず実現すると思います。
野坂税理士事務所
代表者名 | 野坂 喜則 |
所在地 |
滋賀県彦根市 |
A-SaaS導入時期 | 2011年6月 |
事務所規模 | 11人以上 |
移行元システム | JDL |
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