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税理士試験の受験資格を徹底解説!試験の概要やスケジュールも合わせて紹介

税理士試験を受験するには一定の要件があることをご存じですか?税金の専門家になるには学識や職歴などの一定の要件を満たさなければいけません。ここでは税理士試験の受験資格について解説し、試験の概要や税理士登録に必要な実務経験についても解説します。

目次[非表示]

  1. 1.受験前に知っておきたい税理士試験の基本
    1. 1.1.試験内容
      1. 1.1.1.合格基準点は満点の60%とされているが…
    2. 1.2.受験料
    3. 1.3.年間の受験スケジュール
      1. 1.3.1.新型コロナ流行に伴う変更
    4. 1.4.過去2年間の合格者数と合格率
  2. 2.税理士試験を受験するには受験資格が必須
  3. 3.外国籍や大学を中退した場合に受験資格はあるか?
    1. 3.1.日本国籍ではない場合
    2. 3.2.専門学校を卒業した場合
    3. 3.3.大学を中退した場合
  4. 4.受験資格を取得する最も簡単な方法は?
  5. 5.条件を満たさずに受験をする方法はある?
  6. 6.税理士登録をするには2年間の実務経験が必須
  7. 7.税理士資格を取得することでおこなえる三つの独占業務
    1. 7.1.税務代理
    2. 7.2.税務書類の作成
    3. 7.3.税務相談
  8. 8.まとめ


受験前に知っておきたい税理士試験の基本

税理士試験は税理士となるために必要な学識および応用能力を有するかを判定するための試験です。税理士になるには、税理士試験の合格に加えて後述する二年間の実務経験が必要となります。

試験内容

税理士試験は科目合格制が採用されており、複数年かけて合格することが前提の試験となっています。受験生は必須科目2科目に加えて選択必須科目と選択科目から3科目を選び、合計で5科目に合格する必要があります。

科目一覧
科目名
出題内容
計算(%)
理論(%)
会計学に属する科目
簿記論
100
0
財務諸表論
50
50
税法に属する科目(選択必須科目)
所得税法
50
50
法人税法
50
50
税法に属する科目(選択科目)
国税徴収法
0
100
固定資産税
50
50
相続税法
50
50
消費税法
50
50
酒税法
40
60
住民税
50
50
事業税
70
30


受験する科目数は自ら選択することができ、合格した科目は生涯有効となります。5科目すべてに合格すると、合格発表日の官報に受験地、受験番号、氏名が掲載され、官報合格となります。

合格基準点は満点の60%とされているが…

国税庁のHPでは各科目の合格基準点は満点の60%と公表されています。

ただし、実際の採点には相対評価が採用されていると言われており、合格点は会計科目で55%前後、税法科目で75%前後とされています。

受験料

税理士試験の受験料は受験する科目数によって決まります。

受験料
申込科目数
1科目
2科目
3科目
4科目
5科目
受験手数料(円)
4,000
5,500
7,000
8,500
10,000

支払いは願書の所定の欄に収入印紙を貼り付ける形でおこないます。現金、郵送切手、証紙などでは受け付けてもらえないので注意しましょう。

年間の受験スケジュール

試験は毎年4月上旬に国税庁のHPで公告され、8月上旬に3日間かけておこなわれます。合格者の発表は12月中旬に官報で受験地、受験番号、氏名を掲載する形でおこなわれます。

令和3年度の税理士試験実施スケジュール
項目
日程
試験実施官報公告
令和3年4月2日
受験申込受付開始
令和3年5月6日
受験申込受付締切

令和3年5月18日

試験実施

令和3年8月17日~令和3年8月19日

合格発表

令和3年12月17日

新型コロナ流行に伴う変更

新型コロナウイルスの流行に伴い、国税庁のHPでは注意事項が掲載されています。試験会場ではマスクの着用が必須となったほか、緊急事態宣言の発令などにより状況が変化した場合には、実施方針などにも変更が生じる可能性があると公表されています。実際に令和2年度の試験では一部の試験会場が変更となりました。変更がある場合は国税庁のHPで公表されることになっているので、定期的に確認しておくようにしましょう。

過去2年間の合格者数と合格率

税理士試験は毎年3万人前後が受験し、一部科目合格者と官報合格者を足した合格率は15~20%の間で推移しています。

税理士試験を受験するには受験資格が必須

税理士試験を受験するためには、学識、資格、職歴、認定のいずれか一つの受験資格を満たす必要があります。願書出願の際にはそれぞれの資格ごとに証明書類を提出する必要があることを押さえておきましょう。

国税庁のHPではそれぞれのケースについてQ&A形式でより詳しく解説しています。大学を中退した場合や専門学校を卒業した場合などについても解説しているので、疑問がある場合は確認してみましょう。

税理士試験の受験資格
学識による受験資格
大学、短大または高等専門学校のいずれかを卒業した者で、法律学または経済学を一科目以上履修した者
大学3年生以上で法律学または経済学を1科目以上含む62単位以上取得した者
一定の専修学校の専門課程を修了し、法律学または経済学を1科目以上履修した者
司法試験合格者
公認会計士の短答式試験に合格した者
公認会計士試験の短答式試験全科目免除者
資格による受験資格
日商簿記検定1級合格者
全国経理教育協会主催の簿記能力検定試験の上級合格者
会計士補
会計士補となる資格を有する者
職歴における受験資格
法人または個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
銀行・信託会社・保険会社などで資金の貸付・運用に2年以上従事した者
税理士・弁護士・公認会計士などの業務の補助事務に2年以上従事した者
弁護士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士の業務
税務官公署における事務またはその他の官公署における国税もしくは地方税に関する事務

行政機関における会計検査などに関する事務

認定による受験資格
海外の大学を法律または経済学を履修したうえで卒業し、日本の大学の卒業者と同等であると国税審議会に認定された場合
商工会・青色申告会において複式簿記による記帳指導事務に2年以上従事し、国税審議会に認定された場合

外国籍や大学を中退した場合に受験資格はあるか?

税理士試験の受験資格には学識、資格、職歴、認定の4種類がありました。しかし、実際に自分に受験資格があるかわからないという方も少なくないのではないでしょうか。ここでは代表的なケースについて解説していきます。なお、国税庁ではここで解説するケース以外についても「税理士試験に関するQ&A」というページで詳しく解説しています。さまざまなケースが掲載されているので、疑問がある場合は確認してみましょう。

日本国籍ではない場合

税理士試験では国籍や年齢、性別による受験資格の制限は設けられていません。日本国籍ではない方でも問題なく受験可能です。

専門学校を卒業した場合

卒業した専門学校の修業期間が2年以上かつ、過程の修了に必要となる総授業時間数が1,700時間以上であり、法律学または経済学に属する科目を1科目以上履修していれば、受験可能です。

大学を中退した場合

大学3年次以上で中退した場合でも法律学または経済学に属する科目を1科目以上履修し、下記のいずれかの条件に該当する場合は受験可能です。

  1. 合計で62単位以上履修していること
  2. 大学が一般教育科目、外国語科目、保健体育科目及び専門教育科目という従来の4区分制を採用しており、一般教育科目のうち、外国語および保健体育科目を除いた科目が24単位以上あり、専門教育科目等を含めて36単位以上修得していること

受験資格を取得する最も簡単な方法は?

税理士試験の受験資格を取得する最も簡単な方法は、何を重視するかによって異なります。

例えば、単純な取得難易度のみで考えたときに最も簡単なのは、会計事務所や税理士事務所などで2年間の実務経験を積むことです。税理士資格を取得するには実務経験も必要となるので、一石二鳥といえるでしょう。

税理士試験に役立てることも考慮して考えるなら日商簿記一級や全商簿記上級に合格する方法もおすすめです。これらの試験で出題される問題は簿記論と財務諸表論でもその発展形や応用となる問題が出題されるため、基礎固めとして取得しておいて損はありません。

このほか、大学生であれば、経済学または法律学に関する科目を履修することも選択肢に入ります。大学3年以上であれば、これらの科目を含む62単位以上を取得していれば、受験資格を得られるので、最も簡単な方法の一つといえるでしょう。

条件を満たさずに受験をする方法はある?

税理士試験を受験資格を満たさずに受験することはできません。願書出願の際には証明書類の提出を求められるので、注意しましょう。

国税庁では税理士試験に受験資格を定めている理由について下記のように説明しています。

“税理士業務を行うためには、専門的な学識や応用能力のみならず、一定レベルの教育又は一定の実務経験を通じて備えられる税理士業務に関連する基礎的学識又は技能も必要”

出展:国税庁「税理士試験の受験資格の検証」

要約すると、税理士として仕事をするには、専門的な知識に加えて税理士業務に関わりのある学識や技術が必要なことが理由とされています。

税理士登録をするには2年間の実務経験が必須

官報合格となっただけでは税理士資格を取得することはできません。

税理士となるには、日本税理士会連合会の税理士名簿に登録をする必要があり、登録にあたって2年間の租税または会計に関する実務経験が必要となります。租税または会計に関する実務経験として認められるためには以下の要件を満たす必要があります。

実務経験の認定要件
租税に関する事務
租税官公署での事務やその他の官公署、会社などにおける税務に関する事務
会計に関する事務
会計記帳などを簿記の原則に従って記録し、その会計記録に基づいて財務諸表などを作成する過程で簿記会計に関する知識を必要とする事務

実務経験の申請をする際には、それを証明する書類が必要となります。どういった条件で勤務していたのかによって必要となる書類は異なるため、詳しくは日本税理士会の発行する「税理士登録の手引き」を参照しましょう。

なお、実務経験の時間を計算する際には、以下の時間を除いて計算をすることになっています。

  • 税務または会計以外の業務に従事していた時間
  • 税務または会計に関する業務であっても特別の知識を必要としない機械的な作業に従事した期間
  • 1日7時間、1か月154時間の限度時間を超えた分の従事時間
  • 時間外勤務や休日勤務の時間
  • 土日祝祭日など勤務先の定休日及び有給休暇以外での休暇

日本税理士会連合会では2年間ちょうどの実務経験では期間不足と判断される可能性が高いことから実務経験の期間は余裕を持って申請することを推奨しています。実務経験は税理士試験に合格する前の期間からカウントすることができるので、余裕を持って申請するようにしましょう。

税理士資格を取得することでおこなえる三つの独占業務

税理士には税理士のみが扱うことを許される独占業務があります。

税理士業務とは、「他人の求めに応じて、次の三つの事務を行うこと」を業とすることとされています

  • 税務代理
  • 税務書類の作成
  • 税務相談

税理士資格を持っていない者が上記の三つの業務を反復継続して行ったり、反復継続して行う意思を持っておこなった場合は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金を科せられることとなっています。金銭を受け取ることは必ずしも要件に含まれないため、注意しましょう。

税務代理

税務代理は納税者に代わって官公庁に対する税務の手続きを代理・代行することです。例えば、納税者に代わって税務署に税金を申告して納付したり、税務署からの調査があった際に主張や陳述を行います。

税務代理を行う際は、依頼者から委任状を受け取り、税務官公署に提出することが必要となります。

税務書類の作成

税務書類の作成は、納税者に代わって税務官公署に提出する書類を作成することです。例えば、納税者からの求めに応じて、確定申告書や決算書、法定調書などを作成することが該当します。

なお、この場合の作成とは自己判断に基づき、書類を作成することと指し、単なる代筆は作成には含まれません。

税務相談

税務相談とは納税者からの求めに応じて、税務官公署に対する申告や税務署からの調査があった際の主張や陳述、申告書の作成などについて租税の課税標準などの計算に関する事柄について相談に応じることです。

税務相談に該当するには具体的な事案であることが必要であるとされており、納税者からの相談に応じて節税効果や相続税を算出することが税務相談にあたります。

まとめ

税理士試験は毎年8月に実施される試験です。

税理士試験を受験するには、学識、職歴、資格、認定のいずれかの要件を満たす必要があります。海外の大学を卒業された方や大学を中退された方、専門学校を卒業された方でも一定の条件を満たせば受験することができるので、詳しくは国税庁のホームページを確認してください。

一方、税理士試験の受験資格がない場合には、いずれかの方法で資格を取得する必要があります。条件を満たさずに受験することはできないので、注意しましょう。

また、税理士試験に受かった後は2年間の実務経験が必要となります。こちらも一定の要件を満たす必要があるので、注意しましょう。

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