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令和3年度の年末調整改正のポイントを5つに分けて解説!

今年も残すところ2か月余りとなり、税理士事務所にも年末調整の時期が迫ってきました。令和3年度の年末調整の改正点はそこまで多くありませんが、繁忙期を迎える前に改めて内容をおさらいしておきたいという方も多いでしょう。そこで、この記事では本年の年末調整の改正点を5つに分けて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.令和3年度の年末調整改正のポイント
  2. 2.税務関係書類における押印義務の見直し
  3. 3.年末調整関係書類を電磁的方法で提出した場合の税務署長の承認の廃止
  4. 4.e-Taxによる申請等の方法の拡充
  5. 5.住宅ローン控除の特例の延長ならびに要件緩和
    1. 5.1.期間の延長
    2. 5.2.要件の緩和
    3. 5.3.申告書の電子データでの提出が可能に
  6. 6.ひとり親控除・寡婦控除の改正
  7. 7.まとめ


令和3年度の年末調整改正のポイント

政府では2021年9月に創設したデジタル庁の主導のもと、各省庁の行政手続きの電子化を推進しています。国税庁でも「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0-」を発表し、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」を目指すべき将来像として提示しました。
なかでも年末調整については過去の資料で電子化することが名言されており、近年にかけても多くの変更がおこなわれています。ここでは2021年の年末調整の変更点について解説します。

税務関係書類における押印義務の見直し

「行政のデジタル化」の方針に伴い、税務署長等に提出する源泉所得税関係書類の押印義務が廃止されました。
国税庁では、扶養控除等申告書などの年末調整の際に使用する書類についても従業員等の押印は不要と解説しており、ホームページでも㊞の削除された新様式を公開しています。

<下図、新様式>

年末調整関係書類を電磁的方法で提出した場合の税務署長の承認の廃止

従業員から年末調整申告書を電子データで受付・回収する場合に必要だった税務署長による事前の承認が不要になりました。

「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出する必要がなくなったため、みなし承認にかかっていた時間を短縮できるようになりました。
対象となる申告書は以下の通りです。

<電子データで受付・回収する場合に税務署長の承認が不要となった書類>

  • 給与所得者の扶養控除等申告書
  • 従たる給与についての扶養控除等申告書
  • 給与所得者の配偶者控除等申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書
  • 所得金額調整控除申告書
  • 退職所得の受給に関する申告書
  • 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

ただし、上記の方法による受付・回収を行う場合には給与等の支払者が以下の二つの措置を講じておく必要があります。

<1.電磁的方法による提供を受けるために必要な措置>

電子データによる提供を受けるためには以下のいずれかの方法を定める必要があります。

  • イ 勤務先にインターネット経由のメール等で送信する
  • ロ USBメモリ等に保存して勤務先に提供する
  • ハ (社内LANなどで)勤務先と作成者である従業員のみアクセスが可能な領域に年末調整申告書データを保存する
  • ニ 社内LANにログインし、メール等で送信する

※イまたはロの方法で提出する場合、提出するデータに電子署名またはパスワードを設定する必要があると定められています。
出典:国税庁「年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するFAQ(令和3年 10 月改訂版)」より

<2.電磁的方法により提供する者の氏名を明らかにするために必要な措置>

提出されたデータが本人からのものであることを担保するために以下のいずれかの方法を定める必要があります。

  • イ 従業員が申告書情報に電子署名を行い、その電子署名に係る電子証明書を申告書情報と併せて勤務先に送信する措置

マイナンバーカードに記録された電子署名及び電子証明書を利用することが可能。

  • ロ 従業員が、勤務先から通知を受けた識別符号(ID)及び暗証符号(パスワード)を用いて、勤務先に申告書情報を送信する措置

具体的には年末調整申告書データにパスワードを付す場合のほか、社内 LAN等に従業員個別のID、パスワードでログインし、その従業員のみに割り当てられた電子メールアドレスから送信する場合等も含まれます。
出典:国税庁「年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するFAQ(令和3年 10 月改訂版)」より

また、上記の措置に加えて以下の対応も必要となります。

  • 従業員が電磁的方法による提供を適正に行うことができるための措置
  • 従業員が電磁的方法による提供を行う際に、勤務先がその者を特定することができるための措置
  • 申告書に記載すべき事項について電子計算機の映像面への表示及び書面への出力をするための措置

出典:国税庁「年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するFAQ(令和3年 10 月改訂版)」より

e-Taxによる申請等の方法の拡充

税務署長に提出する申請書のうち、e-Taxで提出することができないものについてイメージデータ(PDF形式)による提出ができるようになりました。法令上提出義務のあるものに加えて税務署から提出を要請されている書類についてもイメージデータで提出することができます。

イメージデータで提出することができる書類は以下の通りです。税務署長以外が提出先となるものについては郵送等による提出が必要となるので注意しましょう。

e-Tax「イメージデータで送信可能な手続一覧(令和3年7月1日現在)」

また、PDFファイルを作成ならびに提出する際には以下の要件を満たす必要があります。

<PDFファイル作成時>

  • 解像度は200dpi相当以上

  • 赤色、緑色及び青色が256階調(24ビットカラー)以上
  • 目視により内容の確認が可能
  • パスワードを設定しない

<データ容量>

  • 1送信当たりのデータ容量はPDFファイル合計で最大8.0MB、ファイル数は最大136ファイルです。
  • 最大11回の送信が可能です。
  • データ容量はPDFファイル合計で88.0MB(8.0MB × 11回)、ファイル数は最大1,496ファイル(136ファイル × 11回)まで送信可能です。

出典:e-Tax「イメージデータで送信可能な手続について」


住宅ローン控除の特例の延長ならびに要件緩和

「控除期間13年の特例措置」が延長され、適用要件についても緩和されることになりました。また、申請方法についても変更がおこなわれています。

期間の延長

以下の期間に契約した場合、入居の期限が令和4年12月までに延長されることになりました。

  • 注文住宅:令和2年10月から令和3年9月末まで
  • 分譲住宅:令和2年12月から令和3年11月末まで

要件の緩和

延長部分に限り、合計所得金額が1,000万円以下の者については床面積が40平方メートル以上50平方メートル以下の住宅も対象となるように条件が緩和されました。

申告書の電子データでの提出が可能に

本年度の申告から住宅ローン控除申告書についても電子データでの提出ができるようになりました。
住宅ローン控除証明書についても初年度にe-Taxで「e-Taxで交付」を選択すれば、マイナポータルなどを通じて取得することができますが、選択していない場合は原本の提出が必要となるので注意しましょう。

ひとり親控除・寡婦控除の改正

令和3年1月1日から適用されているひとり親控除・寡婦控除についても年末調整で精算をする必要があります。ひとり親控除と寡婦控除の対象となるのは以下の通りです。

<ひとり親控除の対象>

ひとり親とは、原則としてその年の12月31日の現況で婚姻をしていないこと又は配偶者の生死が明らかでない一定の人のうち、以下の三つの要件の全てに当てはまる人です。

  1. その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。
  2. 生計を一にする子がいること(この場合の子は、その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます)。
  3. 合計所得金額が500万円以下であること。

出典:国税庁「No.1171 ひとり親控除『2 ひとり親控除の対象となる人の範囲』

<寡婦控除の対象>

寡婦とはその年の12月31日の現況でひとり親に該当せず、以下のいずれかに当てはまる人です。

  1. 夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の人
  2. 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人(なお、この場合は、扶養親族の要件はありません)

出典:国税庁「No.1170 寡婦控除『2 寡婦控除の対象となる人の範囲(令和2年分以後)』より」

まとめ


令和3年度の税制改正では押印義務の見直し、税務署長による事前承認の廃止、住宅ローン控除の特例の延長ならびに要件緩和の4点を主な改正点を主な変更点として押さえておきましょう。
また、本年からはe-Taxに対応していない国税手続きをイメージデータで提出できるようになりました。電子申告をおこなう場合は注意するようにしましょう。


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