
いくら掛かる?税理士事務所「独立開業の費用」まとめ
前回の記事では、独立開業を志して準備されている方向けに、「必要な書類手続」についてまとめました。
次に気になることといえば、やはり「結局、開業費用はいくら掛かるのか?」ではないでしょうか。
そこで今回は、「税理士が独立開業するための費用」をまとめてみました。
1.「税理士」としてのコスト
士業におかれては、資格維持のために不可避的なコストが発生します。
税理士の場合、資格登録時に「登録費用」がかかるほか、毎年の「会費」を要することとされています。
所属税理士会によって金額感は異なりますが、一般的に「初期費用 15〜18万円+年間コスト 10〜14万円/年」程度が掛かります。
【 初期費用: 15〜18万円 】
・登録免許税
・登録手数料
・入会金
【 年間コスト: 10〜14万円/年 】
・税理士会 (6〜8万円/年)
・税理士会支部 (4〜6万円/年)
2.「税理士事務所」としてのコスト
税理士事務所という単位で考えた場合、もっとも負担額が大きくなるのは「2-1.物件費」でしょう。
そのほかにも開業のタイミングで「2-2.ITシステム類」まではしっかりと導入しておく必要があります。
一方、「2-3.備品&営業ツール」については必要になったタイミングで購入されるケースも多いようです。
オフィス賃貸やウェブサイト制作まで含めると極めて多額のコスト(初期費用 300万円〜+年間コスト 200万円/年〜)を要しますが、
最近は、レンタルオフィスなどを活用することで「まずは低コストな形から始める」ケースも多いようです。
2-1.『物件費』:オフィスのタイプが大きく左右する
かつてはオフィス向け賃貸物件に入居することが主流で、そのことが開業時のコスト負担を重くする要因ともなっていました。
しかしながら、従来からよくある「自宅開業」に加えて、最近では「レンタルオフィス」といったタイプのオフィスが現れてきています。
それぞれのタイプのメリット&デメリットを見極めたうえで、ご自身にとって最適な形をご検討されてみてください。
【 初期費用: 30万円〜 】
・賃貸手数料
(敷金、礼金、仲介手数料など)
・オフィス器具備品
(机、イス、書棚、応接テーブルなど)
・プリンター&コピー機器
【 年間コスト: 60万円/年〜(※レンタルオフィスの場合)】
・オフィス賃貸費用
・電話&ネット回線費用
[※このほか、地域によっては「営業用車両」などの支出が想定されます]
2-2.『ITシステム類』: 近年では、クラウド系サービスが主流
一般的なパソコン&インターネット環境に加えて、税理士にとっては「税務・会計システム」も欠かせません。
近年では、税理士にとって悩ましい「移動時間が多い」「人手が足りないので間接業務に手が割けない」といった事情から、
そのような悩みを解消するツールとして、若手開業税理士の方を中心にクラウド型サービスが主流となりつつあります。
【 初期費用: 10万円〜 】
・パソコン&付属機器
【 年間コスト: 40万円/年〜 】
・税理士向け税務・会計システム
(詳細なシステム比較については、こちらのダウンロード資料をご参照ください)
・メールアドレス&オンラインストレージ
(Google apps for worksを使用すれば、”xxx@tanaka-kaikei.com”といった独自ドメインのメアドも取得可能)
2-3.『備品&営業ツール』: ECサイトなどを活用して手軽に購入
かつては中古オフィス用品ショップなどで備品を探すケースも多かったところですが、
最近では、ECサイトでさまざまなタイプの備品・消耗品類を手軽に買うことができます。
(有名なサービスとしては、「アスクル」や「カウネット」などが挙げられます)
また、ウェブサイトなどの営業ツールについては、必要となったタイミングで作成するケースも多いものと考えられますが、
その際には「マーケティング視点」もふまえて作成することが肝要といえるでしょう。
【 初期費用: 10万円〜(※ウェブサイトなどを除く) 】
・事務所印鑑
(一般的には、銀行印・申告印の2種類)
・銀行口座
・名刺
・封筒
(個人情報保護型が主流)
[※このほか、開業時からウェブサイト制作費・パンフレット制作費・ロゴ制作費などを手配するケースもあります]
【 年間コスト: 32万円/年〜 】
・健康保険
(「税理士国民健康保険」に加入可能)
・社会保険料
(「税理士国民年金基金」に加入可能)
以上、今回は独立開業に掛かる一般的なコストをまとめてみました。
従来と違い「まずは低コストな形から始める」ケースも徐々に目立ちつつありますので、ぜひ積極的なチャレンジに向けてご参考ください。