
一発図解!平成28年度末で期限を迎える「租税特別措置」を総まとめ
「平成28年度税制改正:ワンポイント解説シリーズ」では、2〜3分でスッキリご一読いただける税制改正解説を提供しております。
第3回の今回は、なにかと頭を悩まされることの多い「租税特別措置」の意義と、今年度税制改正において期限切れを迎える項目(法人税部分)について解説いたします。
「租税特別措置」とは何か?
一般的に現代社会では「租税公平主義」が重視されています。
これは「担税力(=税金の負担能力)や経済実質を考慮したうえで、租税負担は公平でなければならない」とする基本原則です。
(簡素に言ってしまえば、「収入が同額なら税負担も同額」といえば納得感が感じられるかと。)
そして、そのような基本原則が前提としてあったうえでなお、
主に政策的な目的のために、特例的に税額を減免/増徴する措置が「租税特別措置」です。
つまり、「租税公平原則」という基本原則に対する例外対応ということですね。
これらの租税特別措置は、国税に関する特別措置を定める「租税特別措置法」という法律に定められています。
ちなみに余談ですが、「税法」には多くの種類がありますが(法人税法、所得税法、印紙税法…)、
「租税特別措置法」はこれ一つで国税に関する各税法の特別措置をカバーしています。
「税法」があるのに、なぜ「租税特別措置法」が必要なのか?
租税公平原則に対する例外ということで、あまり良くない印象を持たれがちな「租税特別措置」ですが、
実際には相応の理由があって設けられています。
代表的には、今後の成長が期待される中小企業について、積極的な事業展開を奨励する形で優遇を図っているものが多く見受けられます。
例えば、法人税において、所得額 800万円以下の部分については法人税率を軽減していることなどが典型的です。
その他にも、東日本大震災の被災者に対する配慮・支援的措置も必要な例外であるといえます。
これらの例にあらわれる通り、租税特別措置法では主に「その時々の経済的・社会的な要請に基づく特例的措置」が定められています。
そのため、通常、各税法はその後の改廃によって”上書き”されるまで有効でありつづけるのに対して、
租税特別措置法では一般的に終了期限がもうけられていることが特徴的といえます。
一発図解!今年度末で期限を迎える「租税特別措置」
さて、それではいよいよ平成28年度末をもって期限を迎える租税特別措置について今後の対応をみていきましょう。
まずは多くの中小企業に影響を及ぼすと考えられる主要項目。
ここでは特に「生産性向上設備投資促進税制の廃止」と「雇用促進税制の範囲縮減&重複適用OK」に要注目です。
次に、復興特区税制。
こちらでは、徐々に復興が進みながらも、依然として被災者支援が必要であるとの認識のもと、
税額軽減幅を縮減しながらも適用範囲はむしろ緩和される方向での延長となります。
最後に、それほど多くの企業に影響が無いと思われる項目を列挙します。
時限的措置の役割を終えて縮減・廃止に向かうものが多いといえます。
以上、税制改正案をまとめてみましたが、いかがでしたか?
今年は参院選挙の影響もあって大規模な税制改正とはならなかったものの、細かい改正はやはり多いですね・・・。
毎年の知識アップデートもさることながら、教育・システム面での対応にもご留意いただくと良いかもしれません。