
税理士は激務?一般事務所とBIG4税理士法人の業務内容や勤務実態を解説
税理士を目指す人の中には「税理士は激務なのでは?」と不安を感じている人も多いのではないでしょうか?
税理士の仕事はイメージがしにくいため、勤務の実態がつかみにくいものです。ここでは税理士の実際の業務内容をもとに税理士の勤務実態について解説します。
目次[非表示]
- 1.税理士事務所の業務内容
- 2.税理士事務所の年間業務スケジュール
- 3.税理士の休日は少ない?有給の取りやすさは?
- 4.BIG4税理士法人とは?他事務所との違いは?
- 5.BIG4税理士法人の業務内容
- 5.1.税務コンプライアンス
- 5.2.税務コンサルティング
- 5.3.国際税務
- 6.BIG4税理士法人の勤務実態は?休みをとりやすい?
- 7.まとめ
税理士事務所の業務内容
税理士の勤務実態を知るには、まず税理士がどのような仕事をしているのかを押さえておく必要があります。具体的にどのような業務を担当するのかは事務所や時期によっても異なりますが、ここではほとんどの事務所が季節を問わずに行っている3つの業務について簡単に解説していきます。
記帳代行
記帳代行では顧問先から預かった領収書などのデータを会計ソフトに入力していきます。勘定科目の選び方や取引内容の入力方法が事務所によって異なるため、簿記の知識が要求される業務です。事務所に入所した新人が最初に任される業務ではありますが、多くの事務所にとって収益の中心となる大切な業務です。
月次決算
月次決算では月次試算表をもとに月次決算書の作成を行います。
月次決算書は顧問先が毎月の財務状況や営業成績を把握するために使用するのはもちろん、ときには金融機関が融資の可否を判断するための判断材料となる大切な資料でもあります。
巡回監査
巡回監査では顧問先に赴いて会計資料などに問題がないかを確認します。基本的には毎月または期末決算期ごとに顧問先を訪問し、経営者や担当者の日々の悩みをヒアリングしていきます。
税理士事務所の年間業務スケジュール
税理士事務所では6月~11月が閑散期、12月~5月が繁忙期となります。
基本的に税理士の仕事は税務調査などの臨時業務を除けば、季節ごとに決まった仕事をこなしていくことになるため、入所前に年間の業務スケジュールを確認しておきましょう。
ここでは閑散期と繁忙期のそれぞれの業務について解説します。
閑散期
税理士事務所は6月から10月が閑散期となります。
この時期は税務調査などの臨時業務を除けば、記帳代行や月次決算などの対応のみを進めていくことになるため、定時で退社できることも珍しくありません。
2020年11月にMikatus株式会社が税理士事務所を対象に実施した「税理士業界における人材・採用・教育に関する実態調査」によれば、この時期の平均残業時間は28.2時間となっており、35.6%の事務所が10時間以下の残業時間であると回答しています。
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繁忙期
税理士事務所は12月から5月が繁忙期となります。
この時期には通常業務に加えて月ごとに対応しなければいけない業務が発生するため、業務時間が長くなる傾向があります。
同上の調査によれば、この時期の平均残業時間は44時間となっており、23.3%の事務所が過労死ラインである80時間以上の残業をしていると回答しています。
税理士の休日は少ない?有給の取りやすさは?
税理士事務所の休日はカレンダー通りのところが多いと言われています。年間の有給日数についても基本的には一般的なサラリーマンとほとんど変わりませんが、税理士事務所の場合は時期によって業務量が大きく変わるため、有給の取りやすさが時期によって異なります。
繁忙期には有給が取りにくいのはもちろん、休日出勤が求められることもあるので、休みはほとんどないと言っても過言ではありません。
一方、閑散期には繁忙期に取れなかった休みを消化させるために事務所側から有給休暇の取得が奨励されるケースもあり、少し長めの休暇を取得する人もいるようです。
ただし、担当する顧問先に個人事業主が多い場合は夕方以降の時間帯や土日に対応を求められることもあるため、時期を問わず、不規則な働き方になることもあります。
BIG4税理士法人とは?他事務所との違いは?
BIG4税理士法人とは、世界的に展開している4つの会計事務所グループが併設している税理士法人を指します。国内の税理士法人では最も規模の大きい事務所であることから四大税理士法人と呼ばれることもあります。
<BIG4税理士法人>
- PwC税理士法人
- デロイト トーマツ税理士法人
- KPMG税理士法人
- EY税理士法人
顧問先にはグローバル展開をしている日本企業や外資系企業の日本法人が多く、通常の税理士事務所ではあまり提供していないサービスを提供しているのが特徴です。他事務所とは毛色の異なるサービスを提供しているため、業務内容や忙しい時期が異なる点に注意しましょう。
BIG4税理士法人の業務内容
BIG4税理士法人では法人向けに特化したサービスを提供しており、記帳代行や年末調整、決算業務などのサービスはほとんど提供していません。BIG4税理士法人の顧問先は税務申告書の作成や決算業務を社内で行うことが多いため、主な業務は税務申告書の作成やレビューが中心となります。
ここではBIG4税理士法人における業務について詳しく解説します。
税務コンプライアンス
税務コンプライアンスでは申告書の作成や税務相談、税務代理などを行います。名称こそ異なりますが、基本的には一般的な会計事務所における税務顧問サービスと同じものと考えて差し支えありません。
税務コンプライアンス部門はさらに「金融機関」「外資系企業」、「日系企業」などのチームに分かれており、顧問先の業種によってはさらに専門的なチームに分かれることもあります。
税務コンサルティング
BIG4税理士法人では税務コンプライアンスとは別にコンサルティングを専門に行う部門を設けています。この部門のことを税務コンサルティング部門といい、主には大企業向けに組織再編や事業承継に関するコンサルティングを行っています。
国際税務
BIG4税理士法人では事務所同士のネットワークを生かして国際税務サービスを提供しています。主にアウトバウンド税務やインバウンド税務、タックスヘイブン税務、関税、間接税などに関するサービスを提供しており、移転価格についてはその専門性の高さから独立した部門が設けられているのが一般的です。
BIG4税理士法人の勤務実態は?休みをとりやすい?
BIG4税理士法人では各職位からメンバーを選び、チームでクライアントを担当するのが一般的です。案件ごとにメンバーを選んでいくので、決まった部下や上司がいないのが特徴です。
また、提供しているサービスが一般的な税理士事務所と異なるため、労働時間や忙しくなる時期が部門ごとに異なります。
例えば、税務コンプライアンス部門では1月から6月前後までが繁忙期となります。
外資系企業では12月決算の企業が多いため、年明けからTax packageの作成が始まり、2月には消費税の確定申告、法人税の見込納付額算定を行います。外資系企業では申告期限の延長を適用している企業が多いため、3月からはそれらの顧問先の確定申告書を作成し、4月から6月にかけてはタックスレビューや3月決算の会社の確定申告などを進めていくことになります。
一方、税務コンサルタント部門の場合は参加するプロジェクトによって労働時間が異なります。基本的には一年を通して多忙なことが多いと言われていますが、プロジェクトの終了直後はそこまで忙しくないため、有給も取りやすくなると言われています。
まとめ
税理士事務所は時期によって忙しさに差があり、一年中が激務というわけではありません。基本的には一年の半分が繁忙期で、もう半分が閑散期になっているので時期を選べば、しっかりと有給を取得することもできます。ただし、顧問先に個人事業主が多い事務所やBIG4税理士法人の税務コンサルティング部門の場合は顧問先やプロジェクトに合わせたスケジュール調整になるため、休みや勤務時間が不規則になることもあります。