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令和3年度電子帳簿保存法改正を解説!第6回 ~電子帳簿保存の改正概要~

皆さん、こんにちは。
Mikatus(ミカタス)の中尾です。

平成10年に電子帳簿保存法が施行された当時から電子保存が制度として認められていたのが、​​会計帳簿等の電子保存(以下「電子帳簿保存」)でした。この電子帳簿保存については、これまで大きな改正はありませんでしたが、令和3年度電子帳簿保存法改正で大幅に要件が緩和されました。


目次[非表示]

  1. 1.電子帳簿保存 利用状況の推移
  2. 2.電子帳簿等保存の改正内容
  3. 3.中小企業のIT化状況とIT化のゴール


電子帳簿保存 利用状況の推移

国税電子申告の利用開始は平成16年です。電子帳簿保存はそれよりも早いスタートでした。平成10年(1998年)というと、ようやくPCが普及しはじめた時期で、中小企業での会計ソフトの利用もまだまだという状況でした。

そのため、制度創設当初は大企業の利用しかありませんでした。元帳等を出力しないことで保管コストを削減することが目的です。
表1は直近5年間の累計承認件数です。

表1:直近5年間の累計承認件数
国税庁_電子帳簿保存法に基づく電磁的記録による保存等の承認状況より)

事務年度 ※

平成28年度

平成29年度

平成30年度

令和元年度
令和2年度

累計承認件数

188,355
200,724
225,384
272,405
343,808

※当年7月1日から翌年6月30日まで。令和2年度は令和3年6月時点の件数。


制度創設から23年経って、ようやく34万強の事業者が電子帳簿保存に取り組んでいる状況です。では、この中で中小企業や個人事業者の取り組みはどうなっているのでしょうか?

表2は令和2年10月に開催された内閣府の​​納税環境整備に関する専門家会合に財務省が提出した資料の一部から抜粋、編集したものです。

表2:電子帳簿等保存の利用状況
財務省_国税における税務手続の電子化についてより)


納税者数

承認件数 ※1
承認割合


法人

大企業 ※2

3.3万社

2.4万社
72.7%
中小企業
309.9万社
14.8万社
4.8%
個人事業者
525.1万人

6.2万件

1.2%


※1 令和元年事務年度(令和2年6月)の法人税・消費税及び所得税・消費税の累計承認件数
※2 国税局所管法人(原則資本金1億円以上の法人)


中小企業や個人事業者ではまだまだ低い利用状況です。中小企業や個人事業者にとって、単に元帳などを出力しなくてもよいというだけではメリットが見出せなかったからではないかと思います。


電子帳簿等保存の改正内容

では、令和3年度電子帳簿保存法改正で電子帳簿等保存の要件はどのように変わったのでしょうか?
表3は「電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】」問7の回答から抜粋、編集したものです。

表3:改正後の電子帳簿等保存の要件

要件

優良帳簿
優良以外
の帳簿
書類

電子計算機処理システムの概要書等の備付け

見読可能装置の備付け等

ダウンロードの求めに応じること

△ ※1

△ ※2

電磁的記録の訂正・削除・追加の事実及び内容を確認することができる電子計算機処理システムの使用



帳簿間の記録事項の相互関連性の確保



検索機能の確保
△ ※1


※1「ダウンロードの求め」に応じる場合には、検索機能のうち、範囲を指定して条件を設定できる機能及び二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できる機能は不要
※2 検索機能の確保に相当する要件を満たしている場合には「ダウンロードの求めに応じること」の要件は不要


まず、事前の承認申請が不要になりました。そして表3の通り、電子帳簿保存については「優良帳簿」の要件を緩和した「優良以外の帳簿」の電子保存も認められることになりました。
「優良以外の帳簿」の電子保存は、会計ソフトを利用していれば備わっているマニュアルやディスプレイ・プリンタなどの備え付けという環境があり、その上でデータ(CSVなど)のダウンロードができれば良いことになります。

ただし、「電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】」問9の回答に例示されている「​​国税関係帳簿に係る電子計算機処理に関する事務手続を明らかにした書類」を作成する必要があります。
例示されている書類では、仕訳データを訂正又は削除する場合はその記録を残すこととされています。こうしてみると「優良以外の帳簿」の電子保存でも、実際の運用を考えると面倒な面があります。

今回の改正内容から、一見すると電子帳簿保存に中小企業などでも取り組みやすくなった印象はありますが、果たして中小企業にメリットはあるのでしょうか。


中小企業のIT化状況とIT化のゴール

以下の図は表2で引用した資料のなかの中小・小規模事業者の経理事務のIT化状況を示したものです。

図:中小・小規模事業者の経理事務のIT化状況
財務省_国税における税務手続の電子化についてより)


中小・小規模事業者ではまだまだ会計や請求業務のシステム利用率が低いことがわかります。
電子帳簿保存の手前にある、経理事務のIT化を進めることが多くの事業者にとっての課題です。そしてそのゴールは、IT化で作成したデータを有効活用して生産性の向上を図ると同時に経営に役立てていくことです。

A-SaaSの電子帳簿保存法対応は、「電子取引データ保存システム」からスタートしました。請求書など書面でやりとりしているものを電子データのやりとりに切り替えるだけで、事業者はメリットを得ることができます。その電子取引の受け皿として「電子取引データ保存システム」をご利用いただきたいと考えています。

そして​​近い将来、「電子取引データ保存システム」から仕訳を作成し、仕訳と電子取引データを紐づけて管理できるようにすることを検討しています。こうした仕組みをインボイス制度で導入される電子インボイスでも活かせるようにしていきたいと考えています。

取引自体が書面中心から電子データ中心になっていく中で、会計システムのあり方も大きく変わっていくと考えています。A-SaaSではその変化に対応していく中で、中小・小規模事業者の方にとってメリットのある電子帳簿保存への対応を考えていきます。


​​​​​​​
お詫びと訂正
連載第1回及び第5回でスキャナ保存等の承認件数を年度末である3月と記載しましたが正しくは事務年度末の6月でした。以下の通り訂正いたします。

連載第1回 令和3年度電子帳簿保存法改正の背景
(誤)令和2年3月時点 (正)令和2年6月時点

連載第5回 冒頭
(誤)令和3年3月時点 (正)令和3年6月時点



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