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令和3年度電子帳簿保存法改正を解説!第5回 ~スキャナ保存の改正概要~

皆さん、こんにちは。
Mikatus(ミカタス)の中尾です。

平成17年の電子帳簿保存法改正で導入されたスキャナ保存。その後、何度も改正されましたが、令和3年3月時点のスキャナ保存の承認件数は約6,500件足らずしかありませんでした。こうした実態もあり、今回の改正では保存要件が大幅に緩和されました。

目次[非表示]

  1. 1.改正前の保存要件と改正後
    1. 1.1.廃止された要件
    2. 1.2. 緩和された要件
  2. 2.電子取引とスキャナ保存の違い

改正前の保存要件と改正後

以下の表は、改正前の 電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】問12 に掲載されている表をベースに作成しました。


表:スキャナ保存の要件(改正前後の比較)

No.
要件
改正前
改正後
(変更点のみ)
重要書類
一般書類
1
入力期間の制限(書類の受領等後又は業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに入力)


2
一定水準以上の解像度(200dpi以上)による読み取り

3
カラー画像による読み取り(赤・緑・青それぞれ256階調(約1677万色)以上)
グレースケール可

4
タイムスタンプの付与
緩和
5
​​解像度及び階調情報の保存

6
大きさ情報の保存(A4を超えるサイズの場合、受領者以外の者がスマートフォンで読み取る場合はA4以下も必要)


7
ヴァージョン管理(訂正又は削除の事実及び内容の確認)

8
入力者等情報の確認

9
適正事務処理要件

廃止
10
スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持

11
見読可能装置(14インチ以上のカラーディスプレイ、4ポイント文字の認識等)の備付け
グレースケール可

12
整然・明瞭出力

13
電子計算機処理システムの開発関係書類等の備付け

14
検索機能の確保
緩和
15
税務署長の承認
廃止


重要書類とは請求書・領収書などの​​資金や物の流れに直結・連動する書類、一般書類とは見積書・注文書などの資金や物の流れに直結・連動しない書類のことです。

スキャナ保存のメインとなる対象は重要書類ですので、以降は重要書類について改正内容をみていきましょう。

廃止された要件

  • No.9 適正事務処理要件の廃止
    この要件には、「相互牽制」「定期的な検査」と何らかの不備があった場合の「再発防止」が規定されていました。
    • 相互牽制
      受領者がスキャナ等により読み取りを行う場合、受領者以外の者が読み取り後の画像と書面が同等であることを確認しタイムスタンプを付すこと
    • 定期的な検査
      スキャナ保存の事務処理を行う者以外の者が、原則一年に一回検査を行うこと

​​​​​​​これらの要件を満たすためには、内部的な規定を複数定め、それに合わせた業務フローで運用する必要がありました。これがなくなることにより、必要な規定も少なくなり、業務フローも作りやすくなりました。​​​​​​​

  • No.15 税務署長の承認の廃止
    面倒な手続きをしなくてもスキャナ保存に取り組めるようになりました。

 緩和された要件

  • No.4 一定の条件を満たせばタイムスタンプ付与が不要に
    訂正・削除の履歴が確認できる(または訂正・削除できない)システムで、入力期限内(最長約2ヶ月以内)に入力されていることが確認できればタイムスタンプの付与は不要とされました。ただし、この入力期限内に入力されていることの確認は、スキャナ保存をするクラウドサーバーがNTP(Network Time Protocol)サーバーと同期して保存日時を記録するなど、客観的に証明できなければならないとされています( 電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】問21 )。したがって、この運用はクラウドのシステムでなければ現実的に困難です。
  • No.4 タイムスタンプを付与する場合の要件緩和
    タイムスタンプを付与する場合の期限が入力期限内と同様とされ、受領者の署名が必要とされていた要件もなくなりました。
  • No.14 検索要件の緩和
    緩和後の要件は電子取引の場合と同様となります。


電子取引とスキャナ保存の違い

電子取引もスキャナ保存も、PDFやイメージデータを保存するということでは同じですが、制度的には以下の違いがあります。
 
 電子取引
 電子取引で授受した電子データでの保存義務化(2年間の猶予期間あり)

 スキャナ保存
 スキャナ保存する・しないは任意、書面のままの保存も可能
 
メール添付で請求書や領収書を授受する電子取引では、受領する側は添付されているPDF等の請求書をそのまま保存すればOKです。最近では書面でのやり取りから電子取引に移行することで、紙を削減しながら業務効率化を図る企業が増えてきました。近い将来電子インボイスが普及した社会になれば、電子取引の比率はさらに高まると考えられます。
 
スキャナ保存では、解像度の要件などを満たすスキャナを用意し、受領した書面の請求書や領収書を読み取る作業が必要になります。また、スキャナ保存を行うためには、改正後の13件の要件を満たさなければなりません。今、新たにスキャナ保存に取り組んだとしても、ハードルが高い割に、メリットを得ることが難しいかもしれません。
 
書面でのやり取りが完全になくなるのは当分先かもしれませんが、将来を見据え、電子取引の比率を増やしていくことに取り組むほうが費用対効果が高いと考えられます。検討の参考にしていただければと思います。


令和3年度電子帳簿保存法改正に関する記事はこちら

令和3年度電子帳簿保存法改正を解説!第1回 〜保存要件の緩和と電子取引の厳格化〜

令和3年度電子帳簿保存法改正を解説!第2回 ~電子取引厳格化の詳細~

令和3年度電子帳簿保存法改正を解説!第3回  ~電子取引厳格化への対応~

令和3年度電子帳簿保存法改正を解説!第4回  ~電子取引厳格化に猶予期間~



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