
税理士業界にも迫るデジタルトランスフォーメーション(DX)とは?DXが税理士業界で必要といわれるわけを丁寧に解説!
近年、様々なメディアで取り上げられるようになったデジタルトランスフォーメーション(DX)。DXという単語は聞いたことがあってもその意味まではわからないという方も多いのではないでしょうか。実は、DXは税理士業界においても非常に重要なテーマの一つになりつつあります。ここでは、DXの基本的な意味から税理士業界で必要とされているわけ、導入のコツについて解説します。
目次[非表示]
- 1.デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
- 2.DX化とIT化の違い
- 3.DXが税理士業界で必要とされているわけ
- 4.税理士業界におけるDX化の取り組み
- 4.1.紙情報の電子化
- 4.2.RPAの導入
- 4.3.コミュニケーションツールの導入
- 4.4.クラウド型の会計ソフトの導入
- 5.税理士事務所にDXを実現するには?
- 6.まとめ
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?
デジタルトランスフォーメーションとはデジタル技術を使い、既存のビジネスモデルを変革していくことです。
元々は、2004年にウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が「INFORMATION TECHNOLOGY AND THE GOOD LIFE」という論文のなかで提唱した概念で、総務省と経済産業省ではそれぞれ以下のように定義しています。
ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること
出展:総務省「平成30年版 情報通信白書」
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
出展:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」
経済産業省ではさらに、DXが実現しない場合の経済損失を試算しており、既存システムの課題が解決せず、DXが実現されない場合には、年間12兆円の経済損失が発生する可能性があるとしており、これを「2025年の崖」と呼んでいます。
なお、デジタルトランスフォーメーションは英語では、DXと表記されますが、これはトランスフォーメーションを英語でXと表記することに由来しています。
DX化とIT化の違い
DXとよく似た概念にIT化という言葉があります。
この二つの違いを簡単に言えば、IT化がデジタル技術を使って既存の業務の効率化や価値の向上を目的としているのに対し、DX化はその産業におけるビジネスモデルの変革を目的としていることにあります。
例えば、デジタル技術を使って従来のサービスを効率化することがIT化であるのに対して、DX化はデジタル技術を使って製品やサービスの形態や提供手段を変化させることが目的となります。
DXが税理士業界で必要とされているわけ
税理士業界でDX化が必要とされている背景には税理士業界に迫るAI化の問題があります。
近年ではAI技術の発展に伴い、様々な業務を自動化できるようになりました。その結果、従来、税理士が主戦場としてきた記帳業務や仕訳などの業務が会計ソフトによって代替されるようになり、「記帳業務では税理士を利用しない」といった選択肢をする企業も登場するようになりました。
税理士業界におけるこうしたAI化の流れは今後も続いていくものと予想されており、税理士事務所には新たな収益の柱となる事業を創出していくことが求められています。デジタル技術を使って新たな価値を生み出すDXはそうした税理士業界における課題の解決策として注目されています。
税理士業界におけるDX化の取り組み
税理士業界におけるDX化は事務所ごとに異なるため、一概に述べることはできませんが、DXに取り組む事務所では以下のようなツールを取り入れているケースが多いようです。
紙情報の電子化
これまで紙媒体で保存していた情報を文書管理ソフトなどを用いてネット上に保存し、スタッフ間での情報共有の手間を減らしています。紙の保存スペースとして使用していた場所を有効活用できるようにします。
RPAの導入
RPA(Robotic Process Automation)とは、パソコン上で行われる作業をロボットを使って自動化する技術です。税理士事務所では定型的な業務がコンスタントに発生するため、RPAを活用して単純作業にかかっていた時間と人件費を効率化します。
コミュニケーションツールの導入
ビジネスチャットツールやウェブ会議システムの導入を通じてタイムリーな情報共有をしたり、在宅ワークが可能な作業環境を実現します。
クラウド型の会計ソフトの導入
クラウド型の会計ソフトの利点である銀行口座やクレジットカードなどとの連携機能を活用して仕訳や記帳作業を自動化させます。
税理士事務所にDXを実現するには?
では、税理士事務所でDXを実現するためにはどのようなことから始めるのが良いのでしょうか?
例えば、クラウド型のソフトを取り入れた試みが考えられます。
クラウド型のソフトには、銀行口座やクレジットカードなどと連携する機能が標準搭載されており、顧問先の財務状況をリアルタイムで把握できるようになっています。
この機能を生かせば、顧問先の財務状況をリアルタイムで分析して、経営者に資金調達などの提案をする「社外財務部長」とも言うべき関わり方をすることができます。
「社外財務部長」のサービスを実行するためには、常に変化する財務状況を正確に把握し、適切な提案をするスキルが必要になりますが、金融機関とのパイプや書類作成能力などの会計ソフトにはない、税理士ならではの強みを生かすことができます。一つの目標として取り組んでみるのも良いでしょう。
まとめ
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術を使って商品やサービスの形態や提供手段を変化させることです。従来のIT化と比べると、IT化が既存業務の効率化が目的であるのに対し、DXはビジネスモデルの変革を目的としているという違いがあります。
税理士業界ではAIによって従来業務が代替されることが予想されていることからDXによる変革が模索されています。DXに向けての取り組み方は税理士事務所によっても異なりますが、最も取り組みやすいのは、クラウド型のシステムを導入する試みです。
なお、Mikatus株式会社では、税務・会計・給与などの機能が一体となったクラウド型システムA-SaaS(エーサース)を提供しています。
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