ASaaS Clip
日々の業務に役立つ情報をご紹介します。
catch-img

税理士試験の難易度は?科目別合格率や公認会計士との難易度の違いを解説

税理士試験は難易度の高さで知られる試験の一つであり、合格には長い勉強時間と戦略が必要となります。そこで、ここでは、これから税理士試験に挑戦する方に向けて税理士試験の概要や試験の難易度、公認会計士試験との比較などをご紹介します。

税理士とは?試験の概要や試験内容を解説

税理士の難易度を知るために、まずは税理士試験の概要について押さえておきましょう。

税理士資格があるとできること

税理士資格を取得すると、税務書類の作成、税務代理、税務相談の三つの独占業務を行うことができます。これらの独占業務を税理士以外の者がおこなうと、二年以下の懲役または100万円以下の罰金を科される可能性があります。

税理士資格の取得には5科目の合格が必要

税理士試験を取得するには、全11科目ある科目のなかから5科目に合格する必要があります。一度合格した科目は生涯有効となり、受験者は複数年かけて5科目の合格を目指していくことになります。税理士試験の合格基準点は国税庁のHPでは満点の60%とされていますが、実際の採点には相対評価が導入されていると言われています。

>>税理士試験の勉強時間に関する記事はこちら

税理士会への登録には二年間の実務経験が必要

税理士として活動するためには日本税理士会連合会の税理士名簿に登録をする必要があります。登録に当たっては、試験の合格に加えて通算2年間の実務経験が必要になります。実務経験の認定には租税または会計に関する事務を一定の条件に基づいて満たす必要があり、税理士会による審査があります。

数値から見る税理士試験の難易度

複数年かけて受験することが一般的な税理士試験は合格までにかかる年数にバラつきがあるのが特長です。ここでは税理士試験の難易度を科目別合格率や年齢別合格率などから見ていきましょう。

科目別合格率

科目区分
科目名
平成30年度
令和元年度
令和2年度
必須科目

簿記論

14.80%

17.40%

22.60%

財務諸表論

13.40%

18.90%
19.00%
選択必須科目
所得税法

11.60%

14.70%
12.00%
法人税法

12.30%

12.80%
16.10%
選択科目
相続税法

11.80%

11.70%
10.60%
消費税法

10.60%

11.90%
12.50%
酒税法

12.80%

12.40%
13.90%
国税徴収法

10.70%

12.70%
12.20%
住民税法

13.50%

19.00%
18.10%
事業税法

11.00%

14.80%
13.10%
固定資産税法

14.90%

13.70%
13.50%

出典:国税庁

学歴

学歴等区分

平成30年

令和元年

令和2年

大学卒
14.70%
17.30%
19.30%
大学在学中
21.40%
32.90%
32.60%
短大・旧専卒
9.60%
11.90%
17.30%
専門学校卒
15.10%
15.90%
16.80%
高校・旧中卒
17.90%
21.00%
23.80%
その他
32.40%
38.10%
42.20%

出典:国税庁

年齢

年齢

平成30年

令和元年
令和2年

41歳以上

10.00%

11.50%

13.20%
36~40歳
14.30%
16.20%
19.20%
31~35歳
16.80%
19.70%
21.70%
26~30歳
18.10%
23.00%
25.10%
25歳以下
27.00%
32.70%
33.80%
合計
15.30%
18.10%
20.30%

出典:国税庁

公認会計士と税理士ではどちらが難しい?

税理士試験と同じく、難関として知られる公認会計士試験。ここではそれぞれの試験の概要と難しい点について解説します。

公認会計士の試験概要と難しい点

公認会計士の資格を取得するには、短答式試験と論文試験の二つの試験に合格する必要があります。短答式試験に合格した者が論文試験へと進み、論文試験に合格した者が公認会計士となる資格を取得することができます。短答式試験の合格は二年間のみ有効なので、受験者はその間に論文試験に合格する必要があります。

短答式試験

短答式試験は毎年5月と12月に実施されるマークシート形式の試験です。試験科目は財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の四つに分かれており、出題される問題は計算と理論で構成されています。

合否の判定は四科目合計で実施され、500点満点中350点が合格規準点の目安となっています。ただし、一科目でも満点の40%以下のものがあり、かつ、答案提出者の下位からさかのぼって33%の人数に当たる者と同一の得点に満たない者は合計点に関わらず、不合格となります。短答式試験に合格した者は論文試験に進むことができます。

論文試験

論文式試験は短答式試験の合格者を対象に毎年8月に3日間かけておこなわれます。論文式試験では会計学、監査論、企業法、租税法の4科目に加えて経営学、経済学、民法、統計学から1科目を選び、合計5科目を受験することになります。

論文試験でも採点は5科目合算でおこなわれ、満点の52%が合格規準点となります。ただし、一科目でも40%以下の科目がある場合は合計点に関わらず、不合格となります。論文試験に合格した者は公認会計士となる資格を取得することができます。

税理士の試験概要と難しい点

税理士試験では全11科目ある科目の中から必須科目2科目、選択科目3科目を選び、計5科目に合格する必要があります。

試験は毎年8月に3日間かけておこなわれ、12月に結果が発表されます。

税理士試験で合格した科目は生涯有効となりますが、総勉強時間は公認会計士よりも長くなる傾向があり、合格には5年以上かかるのが一般的です。

国税庁では税理士試験の合格基準点を満点の60%と発表していますが、実際の採点には相対評価が導入されているともいわれており、合格基準点は会計科目で55%前後、税法科目で70%前後が目安とされています。


​​​​​​​

公認会計士よりも税理士がおすすめな理由

公認会計士試験と税理士試験はどちらも難関試験であることに変わりはありませんが、社会人が目指すのであれば、税理士の方がおすすめです。

公認会計士試験と税理士試験ではそれぞれの合格に必要な時間は3,500時間と4,000時間といわれています。一見すると、勉強時間の少ない公認会計士の方が簡単に見えますが、注意しなければならないのは、公認会計士に課せられた時間制限です。

公認会計士の試験では、短答式試験と論文試験の両方に二年以内に合格する必要があるため、その期間に集中して勉強をする必要があります。

合格に必要な時間が3,500時間前後といわれていることから、二年間で合格するためには、毎日欠かさず5時間前後の勉強時間を確保する必要があります。社会人がこれだけの時間を捻出するには、フルタイムの仕事から転職するか、プライベートをすべて犠牲にする覚悟が必要になるでしょう。

一方、税理士試験の合格に必要な時間は4,000時間前後といわれています。単純な勉強時間の比較でいえば、税理士試験の方が時間がかかることになりますが、税理士試験には合格までに必要な期間が定められていないというメリットがあります。受験する科目数も自分で調整することができるので、結婚や子育てなどをしながらでも受験しやすいという魅力があります。

税理士試験に合格するうえで押さえておきたいポイント

税理士試験に合格するにはいくつか押さえておくべきポイントがあります。複数年かけて受験することが前提の税理士試験では大事なポイントばかりなので、勉強を始める前に押さえておくようにしましょう。

科目選択は自分の得手不得手も踏まえて戦略的に選ぶ

税理士試験の課目は11科目の中から選択必須科目2科目と選択必須科目1科目を選び、残りの2科目を自分で選ぶことになります。

科目選択をするうえで押さえておくべきポイントは、科目ごとの出題内容の違いです。税理士試験では科目ごとに計算と理論が問われますが、その比重は科目ごとに異なります。

例えば、事業税では計算問題70%、理論問題30%の割合で出題されるのに対し、酒税法では計算問題40%、理論問題60%の割合で出題されます。なかには計算問題のみで構成されている科目や理論問題のみで構成されている科目もあるので、自分の得意なものを選ぶようにしましょう。

ただし、消費税法と酒税法、住民税と事業税はそれぞれいずれか一科目しか選択できない決まりになっています。選択する際は間違えないように注意しましょう。

長期的な計画を練り、科目ごとのつながりを押さえる

税理士試験は複数年かけて攻略していくタイプの試験です。なかには2,3年という短期間で合格する人もいますが、そうした人はごくまれです。基本的には5年以上かけて合格する前提で臨むようにしましょう。

また、税理士試験では受験する科目の順番も重要です。例えば、簿記論と財務諸表論は二つセットで学ぶことが前提の科目であり、二つセットでさらに別の科目を理解するための土台になっています。そのため、これから税理士試験を受験する人は、まず、この二つの科目から受験していく必要があります。このように税理士試験では一つの科目が別の科目を理解するための土台となっていることも珍しくありません。勉強する際は科目ごとのつながりを押さえておくようにしましょう。

まとめ

税理士資格を取得することで税務書類の作成、税務代理、税務相談の三つの独占業務を行うことができます。税理士試験の合格には五科目の試験の合格に加えて通算二年間の実務経験が必要となります。

税理士試験とよく比較される試験に公認会計士試験がありますが、両者の違いは長距離走と短距離走に例えられます。社会人の場合は計画的に受験を進めることができる税理士試験がおすすめです。

勉強の際は科目ごとのつながりを押さえ、長期的な計画を練ってから挑戦するようにしましょう。


ページトップ