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法人税確定申告書の別表まとめ!作成時の注意点を総復習

何かと変更の多い法人税の確定申告書。別表が多いこともあって内容を追いきれない税理士の方も多いのではないでしょうか?そこでこの記事では確定申告の主な別表をまとめます。保管書類などにも触れるので復習用としてご活用ください。

※令和2年4月1日以後終了事業年度分をもとに作成しています。


目次[非表示]

  1. 1.法人税確定申告書の別表とは?
  2. 2.別表の主な種類
    1. 2.1.別表一:各事業年度の所得に係る申告書
    2. 2.2.別表二:同族会社等の判定に関する明細書
    3. 2.3.別表四:所得の金額の計算に関する明細書
    4. 2.4.別表五(一):利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
    5. 2.5.別表五(二):租税公課の納付状況等に関する明細書
      1. 2.5.1.租税公課として認められるもの
      2. 2.5.2.租税公課として認められないもの
    6. 2.6.別表六(一):所得税額の控除に関する明細書
    7. 2.7.別表七(一):欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書
    8. 2.8.別表八(一):受取配当等の益金不算入に関する明細書
    9. 2.9.別表十一(一):個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
    10. 2.10.別表十一(一の二):一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
    11. 2.11.別表十四(二):寄附金の損金算入に関する明細書
    12. 2.12.別表十五:交際費等の損金算入に関する明細書
    13. 2.13.別表十六(一):旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
    14. 2.14.別表十六(二):旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
    15. 2.15.別表十六(六):繰延資産の償却額の計算に関する明細書
    16. 2.16.別表十六(七):少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書
    17. 2.17.別表十六(八):一括償却資産の損金算入に関する明細書
    18. 2.18.別表十九:退職年金等積立金に係る申告書-退職年金業務等を行う法人の分退職年金業務など
  3. 3.法人確定申告の作成手順
  4. 4.法人税の確定申告をスムーズに進めるには?
  5. 5.法人税申告書を作成する際の注意点
    1. 5.1.大法人における電子申告の義務化
    2. 5.2.イメージデータで提出できる添付書類
    3. 5.3.申告様式の変更
  6. 6.保管義務のある書類
  7. 7.確定申告を完了できなかった場合のペナルティ
    1. 7.1.延滞税
    2. 7.2.無申告加算税
    3. 7.3.重加算税
    4. 7.4.利子税
  8. 8.まとめ


法人税確定申告書の別表とは?

法人税の確定申告は複数の用紙を使って計算をします。その際に使用する用紙のことを別表と呼びます。別表は1~19まであり、1を確定申告書、それ以外を明細書といいます。法人税の確定申告は決算日の翌日から二か月以内に各種別表と法人事業概況説明書、決算報告書、勘定科目内訳明細書などとともに所轄の税務署に提出することになっています。


別表の主な種類

別表はすべての用紙を使用するわけではなく、必要なもののみを選んで使用します。ここでは令和2年4月1日以後終了事業年度分の変更点なども交えて主な別表の特徴を解説します。


別表一:各事業年度の所得に係る申告書

法人の基本情報を記載し、納める税額を計算するために使用します。なお、平成28年1月1日以後に開始する事業年度分の申告から法人番号の記載が必要になりました。また、令和元年度の税制改正で別表一(一)~(三)は別表一に、別表一の二(一)~(三)は別表一の二に統合されたので注意しましょう。


別表二:同族会社等の判定に関する明細書

同族会社や特定同族会社に該当するか否かを判定するために使用します。法人税法では会社の株主などで出資を含む発行済株式数(自己株式を除く)の50%以上を保有している会社のことを同族会社、上位1グループで50%以上を占める期末の資本金一億円以上の会社のことを特定同族会社としています。

同族会社や特定同族会社に該当すれば、行為計算の否認や使用人兼務役員の制限などの対象となります。なお、留保金課税の対象となる場合は、別表三(一)で計算します。


別表四:所得の金額の計算に関する明細書

当期の課税所得金額を計算するために使用します。イメージは簡易様式ですが、「国際戦略総合特別区域における指定特定事業法人の所得」などの特例に該当する場合は使用します。


別表五(一):利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書

別表五(一)では税務上の純資産を記載します。


別表五(二):租税公課の納付状況等に関する明細書

別表五(二)では主に当期に納めた租税公課について記載します。租税公課として認められるものと認められないものは以下の通りです。


租税公課として認められるもの

租税公課として認められるものは主に以下の通りです。ただし、下記に該当するものであっても事業そのものに関係のないものは認められません。

租税公課として主に認められるもの
  • 法人事業税
  • 事業所税
  • 自動車税、軽自動車税、重量税など
  • 軽自動車税
  • 登録免許税
  • 税込み方式の消費税
  • 固定資産税や都市計画税、不動産取得税
  • 償却資産税
  • 印紙税
  • 地価税
  • 消費税(税込処理をしている場合)
  • 住民票の発行手数料など公共サービスの手数料
  • 公的な団体の会費
  • 軽油取引税など特別徴収されるもの

租税公課として認められないもの

会社の税引前利益から支払うものや何らかの罰則として徴収されたものなどは租税公課として認められません。

租税公課として認められないもの
  • 法人税、地方法人税
  • 都道府県民税及び市町村民税
  • 各種加算税及び各種加算金、延滞税及び延滞金(地方税の納期限の延長に係る延滞金を除く)、過怠税
  • 罰金や科料、過料
  • 法人税額から控除する所得税
  • 復興特別所得税および外国法人税


別表六(一):所得税額の控除に関する明細書

別表六(一)は期中に支払った利子および配当、償還差益から源泉徴収された税額を法人税から控除するために使用します。なお、令和2年1月1日以降に支払いを受ける集団投資信託の収益の分配に係る源泉所得税の額から控除された分配時調整外国税相当額は別表六の二(二の二)を使用するので注意しましょう。


別表七(一):欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書

欠損金を繰り越したり、繰越欠損金を所得から差し引く際に使用します。


別表八(一):受取配当等の益金不算入に関する明細書

受取配当金のうち益金に算入しないものを当期の所得金額から差し引くために使用します。なお、平成27年の税制改正から出資割合に応じて以下の4つの区分に分けて益金不算入額を計算することになっています。区分ごとに計算式が異なるため、注意しましょう。

区分
株式等保有割合
受取配当等の益金不算入額の算式
完全子法人株式等
100%
受取配当等×100%
関連法人株式等
3分の1超
受取配当等ー関連法人株式等に係る負債利子額
その他株式等
5%超3分の1以下
受取配当等×50%
非支配目的株式等
5%以下
受取配当等×20%

参考:https://tax.mykomon.com/files/news_20180710.jpg


別表十一(一):個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書

貸倒引当金勘定の繰入をおこなう際、個別評価金銭債権があるときに使用します。計算もさることながら繰入をおこなう際は証明書類を保存しておくようにしましょう。


別表十一(一の二):一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書

一括評価金銭債権の貸倒れなどによって生じる損失見込み額の計算をおこなうときに使用します。


別表十四(二):寄附金の損金算入に関する明細書

寄附金のうち、損金算入できる限度額を計算するために使用します。


別表十五:交際費等の損金算入に関する明細書

交際費のうち、損金算入できる限度額を計算するために使用します。


別表十六(一):旧定額法又は定額法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書

定額法で計上している減価償却費が償却限度額を超えていないかを計算するために使用します。


別表十六(二):旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書

定率法で計上している減価償却費が償却限度額を超えていないかを計算するために使用します。


別表十六(六):繰延資産の償却額の計算に関する明細書

繰越資産の償却限度額を計算するために使用します。


別表十六(七):少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書

取得価格30万円未満の資産について少額減価償却資産の取得価格の損金算入の特例の適用を受ける場合に使用します。


別表十六(八):一括償却資産の損金算入に関する明細書

一括償却資産の償却限度額を計算するために使用します。


別表十九:退職年金等積立金に係る申告書-退職年金業務等を行う法人の分退職年金業務など

退職年金業務などを行う法人が退職年金等積立金に係る確定申告を行う際に使用します。

計算の際は「法人税法 第84条の2」と「法人税法 第85条」に従い、退職年金業務を引き継ぎをした場合または引継ぎを受けた場合は月数按分する特例がある点に注意しましょう。また、「租税特別措置法第68条の5」によって平成11年4月1日から令和5年3月31日の間に退職年金業務などを行う内国法人が開始する各事業年度の退職年金等積立金については法人税法の規定にかかわらず、法人税を課さないことになっている点にも注意が必要です。



法人確定申告の作成手順

法人税の確定申告をおこなうにはまず、会社法に則り、決算手続きを行います。次に規定の期日までに決算書を作成し、取締役会での承認を経てから定時株主総会を招集して承認手続きを行います。決算が確定すれば、法人税の確定申告書を作成します。決算書の内容との食い違いがある場合は税務調整を行い、法人税の課税所得を算出します。


法人税の確定申告をスムーズに進めるには?

大量の案件をこなさなければならない税理士にとって最も重要なことは効率よく業務を処理していくことです。法人税の確定申告では国税庁からe-Taxソフトが提供されていますが、会計や給与など様々なデータを都度ごとに参照しながら作業を進めるのは効率的ではありません。そこで、検討したいのがクラウド税務システムです。

作成した申告書・添付書類をそのまま電子申告できるのはもちろん、税制改正で対応が必要なシステム改良も無料で自動アップデートしてくれるので、長く、経済的に使用できます。


法人税申告書を作成する際の注意点

法人税を申告する際は書類の提出方式と申告様式の変更に注意しましょう。


大法人における電子申告の義務化

平成30年度の税制改正によって、令和2年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)から大法人による法人税などの申告はe-Taxで提出することが義務付けられました。なお、対象となる法人の範囲については法人税と消費税で若干異なる点に注意が必要です。

対象法人と対象書類
法人税および地方法人税における対象法人の範囲
  • 内国法人のうち、事業開始年度における資本金の額または出資金の額が一億円以上の法人
  • 投資法人および特定目的会社、相互会社
対象となる書類
  • 申告書およびそれに添付すべき書類すべて


イメージデータで提出できる添付書類

平成28年よりe-Taxから申告をおこなう際に別途書面による提出が必要な添付書類において、一部の帳票についてはイメージデータでの提出が可能となりました。ただし、財務諸表や勘定科目内訳明細書など、電子申告データとして作成可能なものについては法令上、イメージデータでの送信はできないので注意しましょう。


申告様式の変更

令和2年4月1日以後に終了する事業年度用の法人税の確定申告書は平成31年様式から一部の箇所について追加・変更が入っています。

別表番号
変更点
別表三(一)
項目を追加
別表三(一)付表
項目を追加
別表六(六)
項目を追加
別表六(二十四)
別表六(二十五)から帳票番号を変更
別表六(二十五)
別表六(二十六)から帳票番号を変更
別表十(七)
別表十(六)から帳票番号を変更


保管義務のある書類

法人税の申告後は下記の書類などを7年間保管します。場合によっては7年以上経過してから税務署に提出を求められることもあるので、顧客には基本的に捨てないように伝えておきましょう。

保管義務のある書類
帳簿
総勘定元帳、現金出納帳、買掛金元帳、売掛金元帳、固定資産台帳、仕訳帳、仕入帳、売上帳など
書類

領収書、棚卸表、契約書、注文書、損益計算書、貸借対照表などすべて


確定申告を完了できなかった場合のペナルティ

最後に確定申告を完了できなかった場合のペナルティについて解説します。特に各罰則の税率に注意しましょう。


延滞税

延滞税の金額は実際に納付した日によって利率が異なります。2か月以内の場合は「年7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低いほうを適用し、2か月以降の場合は「年14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合を適用します。なお、令和3年の延滞税特例基準割合は2か月以内では2.5%、2か月以降では8.8%となっています。


無申告加算税

無申告加算税で適用される利率は50万円を境に変わります。

・50万円以下の場合は納める税金×15%

・50万円以上の場合は納める税金×20%

となっています。


重加算税

重加算税が適用されるのは架空経費を計上したり、売上を意図的に抜いた場合です。


利子税

「申告期限の延長」を行った場合でも納付期限を延長することはできません。ただし、利子税を損金算入することはできるので忘れずに行いましょう。


まとめ

法人税の別表とは申告の際に使用する用紙のことです。別表は1~19まであり、必要なもののみを選んで使用します。確定申告をする際は年度ごとの様式の変更点や追加点を復習しておき、顧客には書類を原則捨てないように伝えておきましょう。法人税の確定申告をスムーズに進めるには市販のサービスを利用するのもおすすめです。MikatusのA-SaaSを利用すれば、法人税、所得税、消費税、相続税、贈与税の作成から電子申告までをワンストップで進めることができます。3分程度で読めるので興味のある方は下記のリンクから詳細をご確認ください。

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