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税理士の繁忙期はいつ?年間の業務内容と事務所別の働き方、残業時間を解説

税理士は繁忙期が激務なことで知られている職業の一つですが、具体的な業務内容についてはよく知らないという方も多いでしょう。そこでこの記事では、税理士を目指す方に向けて税理士事務所の年間の業務内容や事務所別の働き方、残業時間の実態などを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.税理士事務所の業務内容と年間スケジュール
    1. 1.1.閑散期
      1. 1.1.1.記帳代行
      2. 1.1.2.巡回監査
      3. 1.1.3.月次決算
    2. 1.2.繁忙期
      1. 1.2.1.年末調整
      2. 1.2.2.個人の確定申告
      3. 1.2.3.法人の決算申告
      4. 1.2.4.法定調書の作成
      5. 1.2.5.償却資産税の申告
  2. 2.一年間の業務スケジュール
  3. 3.規模ごとの税理士事務所の働き方の特徴
    1. 3.1.スタッフ5名程度の事務所
    2. 3.2.スタッフ15名程度の事務所
    3. 3.3.スタッフ40名程度の事務所
    4. 3.4.スタッフ100名程度の事務所
    5. 3.5.スタッフ100名以上の事務所
  4. 4.年間の残業時間=繁忙期の残業時間
  5. 5.まとめ

税理士事務所の業務内容と年間スケジュール

税理士事務所で働く際はまず、事務所の全体的な業務内容やスケジュールを押さえておきましょう。税理士事務所は閑散期と繁忙期で業務量に大きな差があるため、時期によって労働時間が異なります。

ここではそれぞれの時期の代表的な業務と年間スケジュールを解説します。

閑散期

税理士事務所では6月~10月が閑散期にあたります。

この時期は税務調査などの臨時業務を除けば、通常業務の対応のみをしていくので、残業が少なく、定時に退社できることも珍しくありません。

ここでは閑散期の業務について解説します。

記帳代行

記帳代行では顧問先から預かった領収書や通帳のコピーをもとに会計ソフトへの入力を行います。多くの事務所にとって収益の中核となる業務であり、税理士事務所に入所した新人が最初に任される業務でもあります。一見、単純に見える業務ですが、事務所によって勘定科目の選び方や取引内容の入力方法などが大きく異なるため、簿記の知識が大切な業務でもあります。

巡回監査

巡回監査では顧問先に出向いて会計資料や会計記録に不備がないかを確認します。契約にもよりますが、基本的には毎月または期末決算期ごとに顧問先を訪問し、経営者や担当者と経営面での困りごとなどもヒアリングします。

月次決算

月次決算は顧問先から提出された月次試算表をもとに月次決算書を作成する業務です。毎月の財政状況や営業成績を把握するために使用するのはもちろん、ときには月次予算と比較して未達成の原因を分析するために使用されることもあるため、顧問先にとって重要な資料となります。

繁忙期

税理士事務所では11月~5月が繁忙期にあたります。

繁忙期は通常の業務に加えて年末調整や確定申告、決算申告などの業務が発生するため、かなりの激務となる事務所も珍しくありません。

具体的には、年末調整とそれに関連する業務が11月から1月末まで入り、2月から3月15日までは個人の確定申告の対応が入ります。4月にはこれらの業務で遅れた通常業務の対応を進め、5月に法人税の確定申告をしていくことになります。

ここでは繁忙期の業務について解説していきます。

年末調整

年末調整は顧問先の従業員の給与計算を行い、税務署に届け出る作業です。税理士事務所にとっては繁忙期の入り口とも言える業務であり、11月ごろから顧問先の資料回収を始め、1月31日まに税務署に関係書類の提出を完了させる必要があります。

主な業務としては、それぞれの従業員の家族構成や給与金額、生命保険の加入状況などを年末調整用のソフトに入力していくことになりますが、扱う書類が幅広く、同時に資料の整理もしていく必要があるため、労力のかかる作業と言われています。

個人の確定申告

個人の確定申告については力を入れている事務所とそうでない事務所があるため、忙しさには事務所ごとの差がありますが、確定申告の対象には株式投資や太陽光発電などを行っている方も対象に含まれるため、法人のオーナーなども対象に含まれます。

確定申告では2月16日から3月15日にかけて通常業務と並行して集中的に処理を行うため、かなりの業務量になります。

法人の決算申告

法人の決算申告業務では決算書と税務申告書の二つを作成します。合わせて40~100ページ程度の資料を一つの会社ごとに決算日の翌日から二か月以内に作成する必要があるため、3月決算の顧問先を多く抱えている事務所では4月から5月にかけてが最も忙しくなります。特に5月のゴールデンウィークは追い込みの時期に当たるため、休日返上で働くことが求められることもあります。

法定調書の作成

法定調書の作成業務では所得税法と相続税法で提出が義務付けられている書類を作成します。

法定調書は全部で59種類あり、それぞれに細かな提出条件が定められています。例えば、給与所得の源泉徴収票では支払額がいくらであったかや年末調整の有無などによって提出の要否が決まるため、作業の際にしっかりと確認をしておく必要があります。

法定調書は1月末までに法定調書と法定調書合計表を税務署に、給与支払報告書と特別徴収票は市区町村に提出する必要があります。

償却資産税の申告

償却資産税の申告では固定資産の一部である償却資産税の申告を行います。毎年1月末に市区町村に届け出をする必要があるため、年末調整や法定調書の申告と並行して作業をする必要があります。

一年間の業務スケジュール

税理士事務所の一年間の業務スケジュールは下記の通りです。

規模ごとの税理士事務所の働き方の特徴

税理士事務所は事務所の規模によっても業務内容や働き方に違いがあります。

ここではスタッフの人数ごとに税理士事務所での働き方の特徴を解説します。

スタッフ5名程度の事務所

スタッフ人数5名程度の事務所はマンションの一室などを利用していることが多く、代表と二人三脚のような形で働けるのが特徴です。

クライアント対応は代表が対応することが多く、主な業務は代表の補助となります。

労働時間は事務所によって差がありますが、基本的にはそこまでの激務になることは少なく、税理士試験との両立がしやすいと言われています。ただし、スタッフの人数が限られているため、何らかのトラブルがあった場合はかなりの激務になることもあり得ます。

スタッフ15名程度の事務所

スタッフ人数15名程度の事務所はオフィスビルの一室を利用していることが多く、代表との距離が比較的近いのが特徴です。

拡大路線をとっている事務所も多く、増え続ける顧問先に対応するために若手でもクライアントを持てる可能性があります。労働時間も長めなので、試験勉強との両立は困難ですが、多くの実務経験を積むことができます。

スタッフ40名程度の事務所

スタッフ40名程度の事務所は税理士法人として登録しているところが多く、社内の組織化が進んでいるのが特徴です。

新卒や未経験者の採用をしているところも多く、この規模の事務所からキャリアを始める税理士もいます。即戦力の募集も常に行っており、顧問先の業種も幅広いことから多彩な経験を積むことができます。

スタッフ100名程度の事務所

スタッフ100名程度の事務所は社歴が30年以上ある事務所が多く、教育制度が体系化されているのが特徴です。福利厚生も手厚く、新卒採用を毎年行っており、ほとんどの税目を偏りなく扱っています。労働時間もしっかり管理されているので、試験勉強との両立もしやすいと言われています。

スタッフ100名以上の事務所

スタッフ100名以上の事務所は全国に支店を展開しており、顧問先に大手企業が多いのが特徴です。教育研修制度も確立されており、新卒と中卒採用の両方に力を入れています。

様々な面で手厚い待遇が与えられる一方、就職希望者には高い水準を課すことが多く、最低でも3科目以上の合格が求められると言われています。

年間の残業時間=繁忙期の残業時間

2020年11月にMikatus株式会社が実施した「税理士業界における人材・採用・教育に関する実態調査」によれば、税理士事務所での一か月あたりの平均的な残業時間は月30時間以内と回答した事務所が全体の7割を占めました。週休二日と仮定すると、毎日1.5時間の残業をしていることになります。

対して、繁忙期には、23,3%の事務所が月80時間以上の残業をしていると回答しています。全体平均は44時間なので、週休二日で考えた場合、一日2.2~4時間以上の残業をしていることになります。

税理士事務所によってはこうした問題に対応するために、繁忙期にスタッフを短期雇用するといった取り組みを進めているところもあり、残業時間が閑散期と変わらないところもあるようです。

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まとめ

税理士事務所は6月から10月が閑散期、11月から5月が繁忙期にあたります。具体的な業務内容は事務所や時期によっても異なりますが、繁忙期には普段の業務にプラスする形で仕事が増えるため、かなりの長時間労働になることも珍しくありません。

税理士事務所の規模別にみれば、スタッフが少人数の事務所の場合は代表との距離が近く、自分で顧問先を持てるというメリットがありますが、激務であることも珍しくないため、試験勉強との両立には工夫が求められます。

対して、スタッフが大人数の事務所の場合は教育制度や福利厚生が充実しており、試験勉強との両立がしやすいというメリットがありますが、入所のハードルが高く、広範な業務経験を積みにくいという側面もあります。

将来的にどのような働き方をしたいのかを踏まえて働く事務所を選ぶようにしましょう。

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