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会計事務所が考えておくべきBCPについて徹底解説!

BCPとは企業がテロや災害に直面した際に存続する方法を取りまとめた計画書のことです。会計事務所における業務の停滞はそのまま顧問先へのダメージという形で返ってくるため、普段から備えておくことが欠かせません。ここでは、BCPの基本から会計事務所における必要性、作成方法について解説します。

BCPの意味と会計事務所における必要性

BCPとは、「Business Continuity Plan」の頭文字をとった言葉で、日本語では「事業継続計画」と訳されます。BCPでは企業がテロや災害に直面した際に事業資産の被害を最小限にとどめ、中核となる事業の継続や早期復旧の方法などを定めます。

経営基盤の脆弱な中小企業では突発的な災害によって廃業に追い込まれたり、従業員を解雇せざるを得ない状況に陥ることも珍しくありません。

東日本大震災では建物の倒壊による書棚やコンピュータの破損、公共交通機関の麻痺による職員の帰宅・出社困難、計画停電による業務の停滞などによって、深刻な被害を被った企業が多かったため、BCPという考え方に注目が集まるようになりました。

日本は外国と比べても特に災害が多い国であるといわれており、「国土技術研究センター」では1979年から2008年の間に全世界で発生した災害の被害金額のうち、約12%が日本のものであると発表しています。

会計事務所においても顧客の会計・申告データの破損や従業員の負傷、建物の倒壊などによって業務の停滞などの被害を受けることが考えられます。会計事務所における業務の停滞は顧問先へのペナルティという形で返ってくるため、事前の対策が重要となります。

特に個人事務所やそれに近い規模の事務所では、代表者の負傷がそのまま長期の業務停滞や事務所の存続問題にもつながりかねません。必ず事前の対策を講じておくようにしましょう。

災害時に会計事務所が最低限の業務を続けていくために必要なこと

東京税理士会の情報システム委員会が2011年9月に発行した「情報通信」では、災害時に会計事務所が最低限の業務を続けていくためには、「顧客の会計・申告データ」と「事務所職員」の安全確保が不可欠と解説しています。

顧客の会計・申告データ

顧客の会計・申告データの安全確保については、データをあらかじめ分散管理することが必要になります。紙媒体で全ての資料を保存することは不可能なため、電子媒体での保存が必要になるでしょう。

分散管理の方法としてはポータブルハードディスクなどにバックアップを保存しておき、自宅や職場など複数の場所に保存しておくことが考えられますが、必要になる手間やハードディスク自体の破損・紛失なども考慮すれば、オンラインのストレージサービスなどを利用する方が安全でしょう。

事務所職員の安全確保

事務所職員の安全確保については、事務所職員の出社・帰宅経路を普段から明確にしておくことが大切です。事務所内の見えるところにハザードマップを掲示しておき、職員の帰宅途中の避難場所も押さえておくようにしましょう。また、携帯電話のバッテリーが切れても連絡が取れるよう、電話番号やメールアドレスなどを記載した連絡カードを人数分用意しておき、全員が代表者と連絡が取れる状態を確保しておくことも大切です。

避難所からデータにアクセスできる環境も重要

長期の避難生活を余儀なくされる場合は、避難所や自宅からでも業務を進められる環境が必要になります。職員の状況によっては普段使用しているパソコンが使用できないといったことも考えられるため、スマホやタブレットなど複数の端末からデータにアクセスできる環境が必要になるでしょう。また、パソコンの電源が切れてしまっても業務を進められないため、蓄電池などを複数台用意しておくことも必要になります。


会計事務所におけるBCPの作成方法

中小企業庁が平成21年に発行した「BCP策定のためのヒント~中小企業が緊急事態を生き抜くために~」では、中小企業のBCP策定手順を以下のように解説しています。


中小企業におけるBCPの策定手順

  1. 自社が遭遇する重大な自然災害などを確認する
  2. 自社の存続にかかわる重要な業務を挙げる
  3. 中核事業を復旧させる目標時間を設定する
  4. 復旧に長時間を要する資源を特定する
  5. 資金調達について検討する
  6. 対策や代替手段を検討する
  7. 従業員、取引先などと共通認識を持つ
  8. 安否確認と取引先との連絡手段を考える
  9. 今後実施すべきことを整理し、計画的に進めていく
  10. 1年間の活動を総括してBCPを見直す

出典:中小企業庁「BCP策定のためのヒント~中小企業が緊急事態を生き抜くために~」



上述の東京税理士会の情報システム委員会の資料では上記のステップをもとに、会計事務所でのBCPの考え方を解説しています。

同資料では会計事務所における中核業務を申告業務と定義し、3~6の点について人、物、金の観点から以下の四つのケースについて検討することを推奨しています。

  • 申告データが破壊された場合
  • 申告業務に使用するコンピュータが破壊された場合
  • 事務所が破壊された場合
  • 職員が出社できない場合

7~8については職員の出社・帰宅経路、顧客との連絡方法について検討し、9では具体的な対応策と避難訓練を実施することを推奨しています。

BCP対策チェックリスト

中小企業庁の「BCP策定・運用状況の自己診断」のページでは、BCPの運用状況を自己診断できるリストを公開しています。同庁では下記のリストは合格・不合格を決めるものではなく、「いいえ」になった個所のさらなる対策を立てるものであると解説しているため、チェックの際は「はい」の数を気にする必要はありません。

事業継続基本方針の立案
優先度
はい/いいえ
診断項目
必須

経営者が関与して規定された事業継続の基本方針がありますか?


上記の事業継続の基本方針について、内容をすべての従業員に周知させるための仕組みがありますか?
推奨

上記の事業継続の基本方針について、取引先企業や協力会社などに内容が公開されていますか?


BCPサイクルの運用体制確立(一部抜粋)
優先度
はい/いいえ
診断項目
必須

平時においてBCPサイクルの運用を推進する社内体制が確立されていますか?

上記の社内体制は、経営者自らが率先してBCPの策定・運用にあたるものになっていますか?
推奨

BCPサイクル運用体制について、当該メンバー以外の従業員も、その存在を明確に認識していますか?

BCPサイクルの運用体制の状況を確認し評価する機能はありますか?

出典:中小企業庁「3.6 BCP策定・運用状況の自己診断(基本コース)」


BCPには顧問先での対策も重要

会計事務所におけるBCPを万全にしていくためには、顧問先での対策も重要です。顧問先が潰れてしまっても事務所の経営を維持することはできないため、顧問先にもBCPの策定を呼び掛けていく必要があるでしょう。

税理士事務所によっては自事務所でBCPを策定した経験を活かして顧問先のBCP策定を支援するサービスを実施している事務所もあります。そうした事務所では顧問先の資金繰など短期の資金計画の支援に加えて「事業継続力強化計画」の認定制度の利用を推奨しています。

「事業継続力強化計画」とは令和元年7月に中小企業強靭化法に基づいて成立した制度で、中小企業が防災対策のために取り組んだ計画に対して国が認定を与えるものです。この制度に認定された企業には計画実行を支援するための措置として、税制優遇や日本政策金融公庫からの低利融資、信用保証枠の拡大などのメリットを受けることができます。

令和2年10月には、計画の基本方針が改正され、サイバー攻撃や感染症など自然災害以外のリスクも支援の対象に加わりました。

顧問先にBCPを推奨する際には、認定制度の利用を促すのも良いでしょう。

まとめ

BCPとは企業が災害やテロに直面した際に存続する方法を取りまとめた計画書のことです。会計事務所における業務の遅延はそのまま顧問先へのペナルティという形で返ってくるため、普段から対策を立てておくことが重要です。

特に業務に使用するデータが紛失・破損してしまえば、再開までにかなりの時間を浪費することになるため、サーバの保護には力を割くようにしましょう。ただし、どれだけ対策を施しても物理メディアであるサーバを災害から守るには限度があります。

データの安全性を考慮するならクラウド型のサービスを検討するのが良いでしょう。クラウド型のサービスはネット上で常にデータのバックアップを作成するため、万一、事務所が水没してしまってもデータが損なわれることはありません。

Mikatus株式会社では税務・会計・給与の機能が揃ったクラウドシステム「A-SaaS(エーサース)」を提供しています。BCP対策に興味のある方は下記の詳細ページをご参照ください。

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